この御忌詠唱大会の一か月後に講員さんが一人静かにお浄土へ逝かれました。お稽古には誰よりも早くいらっしゃる方でしたのでその時に色々とお話をしたことが思い出されます。
講員:「私は万が一に備え、遺言をノートに綴っている」とのこと。独り身だから元気なうちにということだそうです。詠唱の事は当然、書いてあるのだろうと思い確認する意味で尋ねてみました。
すると「詠唱の事は書いていません、檀家じゃないから」とおっしゃる。あなたはお仲間ですから詠唱会のことを書いておいて下さいとお話しました。「そうですね、今詠唱が生きがいですからね。じゃあ忘れないうちに書いておきます」と、おっしゃられてお稽古をして帰宅されました。
次のお稽古には先生、ちゃんと詠唱のこと書いておきましたよっておっしゃられました。
…その次の稽古日には親戚から「詠唱会ですか?私は○○の親戚ですが、ノートに詠唱の連絡先があるので、今夜お通夜ですがお知らせしておこうと思いお電話しました」との訃報。
誰のことかわかるにつれ血の気が引き、鼓動が邪魔で電話の声がなぜか遠くて理解不能、思考停止してしまいそうな感覚に陥りながら何とか受話器を置きました。関係のところへ連絡。お稽古に来た講員に訃報を伝え、驚きとドタバタのうちにそれでも何とか最後のお別れには詠唱を捧げることができました。
…言葉が出ません。何だったのだろうと思いました。
「熱き涙の真心を御霊の前に捧げつつ」「思い煩うこともなく、とこしえかけて安からん」
光明摂取和讃の言葉をかみしめるようにここに記したいと思います。 合掌 |